宿に参す、その命を受るに迫りて、杖盂(応量器)得得として来たり帰る(落ち着く)、乃ち冢を掃て桂樹を種え、地を画して経界を定め、これに廬(いおり)して、萬年山長松院と云ふ、唯如在の神儀を無窮に祀享するのみならず、蓋し蕙(うつくしい・かぐわしい)子蘭孫幹植ち枝蕃きの兆に取てなり、猶後の人をして名を問ひ実を覈べ視て遺ることなく、以て永く保ちて墜ることなからしめんことを願ふなり、茲時草昧、院なお備ざる所多し、長応に至りて院増々以て済なる(整い揃う)、応の結制を啓建するに当たって、直孝君僧糧米二十斛(石)を賜ふて用いて