蓮の台(うてな)。

今年も本堂前に植えてあるハスの花が咲き始めました。

今年で三年目ですが、これまでで一番多く花が咲いています。

この春は晋山式準備のため植え替えをしていなかったのですが、咲いてくれてよかったです。

毎年根を起こさなくても大丈夫なようですね。

 

ハスは仏教において大切にされる花の一つです。

蓮は泥より出でて泥に染まらず(泥まず、とも)といい、泥=世俗から育って泥にまみれず、気高くまっすぐに凛とした花を咲かせる、仏教者のメタファーとして捉えられてきました。

調べてみると、ヒンドゥー教においても神々のシンボルとして大切にされているということでした。

 

「拈華微笑(ねんげみしょう)」というお話があります。

 

ある日、釈尊が弟子を集めて霊鷲山にて説法を行った際、釈尊は華を拈じて高くかざされた。

みんなは意味がわからずポカンとしていると、摩訶迦葉のみがそれを見て破顔微笑した。

そこで釈尊は「吾に正法眼蔵、涅槃妙心、実相無相、微妙法門あり。不立文字、教外別伝、摩訶迦葉に付嘱す(私には正しく物事を見る智慧の目があり、また悟りに至る門がある。これは言葉によっては決してたどり着くことのできないものである。この真実の教えを摩訶迦葉に伝える)」

そう仰られた、という話です。

     

本当の正しい生き方は言葉で理解するものではない、という禅的な教えの有名なものですが、この時に釈尊が拈った花が蓮ではないか、という説があります。

 

また、仏さまが座っていらっしゃるのは蓮の花(蓮華座)ですし、人が亡くなって三日目に行われる供養を「開蓮忌」と言います。

 

さらに我々僧侶が供養の時に手にする宝具の一つに「如意」というものがありますが、あれも蓮の花をかたどったもののようにも見えます。

 

 

また花を咲かすのが七月から八月のお盆時期にかけて咲くというのも仏花の代表とされる一つの要因かもしれませんね。

「ご先祖さまも釈尊のように、蓮の台に座ってください。そして我々をお見守りください」

そんな気持ちが込められているような気がします。

 

 

 

 

もうすぐ今年もお盆の季節。

ご先祖さまが、帰ってきます。

長期のお休みを取れる数少ないチャンス。

帰ってくるご先祖さまとのんびり家で過ごすお盆も、たまにはいいかもしれませんよ。